Relevantってどう訳す?

       

厄介な英単語

 英文では特に目立たない単語なのに、訳すとなるとしっくりくる言葉が見つからない単語、ありますよね。Relevantには悩まされます。ぱっと思いつくのは「関連性」です。関連性がある……。ODEだと“closely connected or appropriate to the matter in hand”と定義されています。たしかに関連性で間違ってはいません。

 

いきなり出てくる「関連性」

 しかし、実際には「関連性」と訳すと妙なことになってしまう場合も。「〇〇への関連性がない」なら分かりますが、いきなり「関連性がない」とだけ言われても、何のことやら分かりません。「彼には関連性がない」と、突拍子もなく“関連性”が出てくると、「はは~ん、これは原文がrelevantなのかな?」と思ってしまいます。

 

relevantは“関連性”じゃなかった

英英辞典を引いてみると……

 こういうときのrelevantは、一体どういう意味で使われているのでしょうか? 今度はCOBを引いてみましょう。こちらでは、“Something that is relevant to a situation or person is important or significant in that situation or to that person”と説明されています。この“important or significant”という部分が大事です。ただ関連があるわけではなく、重要だという意味合いがあるのです。

 

重要だったり、今日的だったり

 ですから、「重要性」と訳すと意味が通ることもあります。もちろん、文脈によって判断しなくてはなりませんが。「世間、社会にとって密に関係がある」、つまり「重要である」、さらには「今日的である」ということです。

 ランダムハウスでは、次のように定義されています。
1(当面の問題に)関係のある、(…にとって)適切な、当を得た、問題とされる(⇔irrelevant)((to …))
2(…に)相当[相当]する、(…と)相対的な、釣り合った((to …)).
3今日的な意義のある、有意義な
4〔言語〕関連的な、関与的な

 

訳語の印象も大事

 また、“関連性がある”というと、事実を客観的に述べている、という印象をうけます。ニュートラルな表現です。マーケティングの分野で言うと、それよりも“重要性が高い”、“今日的だ”というほうがポジティブに聞こえます。

 セレブリティやミュージシャンについての文脈でrelevantという言葉が出てきたら、まずそちらの意味です。たとえば“Stay relevant”と言えば、「“今”でありつづける」などという訳も考えられます。世間にとって関心の対象、注目の的でありつづける、ということです。

 このトピック、皆さんにとってはrelevantだったでしょうか? ど真ん中、と言われるような題材を探したいと思います。