セクシーな言葉たち
‘sexy’ は使っちゃいけない単語?
最近 ‘sexy’ という単語が話題になりました。あの件は言葉の選択の問題ではないと思いますが、ここでは言葉の側面だけをとりあげます。
マーケティング文書では効果的だと思われている単語がいくつもあります。Fun。Love。Feel。Magic。 ‘sexy’ もそのひとつ。硬い文章では普通使われない、シンプルな言葉です。そういう口語的な表現を、一番強調したいところであえて使うのです。読み手の心に訴えかけるためのテクニックです。難しい単語ばかりずらずら並べても、流し読みされるのがオチなので。
こういう単語を ‘power words’ と言います。読み手の心を揺さぶり、行動を起こさせる単語のことです(日本語で「パワーワード」というとまったく違う意味で使われていますが)。
その違和感はわざとです
ときには、厳密には正しくない口語的な用法をわざと使うこともあります。すぐ思い浮かぶ例は、マクドナルドが一時期使っていた ‘I’m loving it’ というキャッチコピー。CMでメロディーをつけて使っていたフレーズなので記憶にある方も多いかもしれません。普通なら正しくない使い方をすることで、視聴者の注意を引くわけです。
feel も love もパワーワードなら両方使っちゃえば……
たとえば、カジュアルなサンダルで有名なCrocsは ‘Feel the Love’ というキャンペーンを打っています。2010年なので古い話ではありますが。Crosliteという独自の技術の素晴らしさを際立たせるために選ばれた表現だそうです。そのままですが、「あなたの足を愛してくれるサンダル」ということですね。足にフィットしてくれそうで、履き心地がよさそうです。
どんな単語がパワーワードなの?
パワーワードはたくさんあるのですが、ほかにもいくつか挙げてみましょう。 ‘success’ はどんな分野でもよく使われます。和訳で意外に困らされる言葉です(名詞から形容詞に変えたり、副詞に変えたりすると切り抜けやすい気がします)。 ‘rich’ は味や色合い、体験などに使われます。 ‘simple’ もパワーワードで、「この製品は使うのが楽そう」と思わせる力があります。
よく使われる口語表現でも、 ‘awesome’ は避けておいた方がよいのかも。一時期あまりに若者言葉として有名だったため、言葉の意味が軽くなってしまいました。(もともとの意味の ‘awe’ (畏怖、畏敬)から離れていない ‘awe-inspiring’ ならパワーワードとされています。)とはいえ、こういう使い古された言葉こそ、使い方次第で読み手をハッとさせるパワーワードになるのかもしれません。
こういう感情面の表現のほかにも、読者に行動を起こさせる単語がパワーワードとして有名です。 ‘free’ や ‘Only Now’ などは分かりやすい例ですね。ちなみに当事務所の見積もりは無料です。お気軽にご相談ください。