名詞で語る日本語と、動詞で語る英語

       

英語は動詞? いや副詞?

  英語は動詞が大事とよく言われます。ほかにも、副詞が決め手、いや名詞だ、などと、いろいろな意見があります。一方、日本語だとよく言われるのは形容詞でしょうか。私は「英語は動詞」、「日本語は名詞」に一票です。経験上、英語は動詞で語り、日本語は名詞で語るものだと思います。

 

  「動詞で語る、名詞で語る」とはどういうことでしょう?

 

実際の例で見てみよう

  たとえば、「少子化への対応は遅くなればなるほど、将来への影響がより大きくなる。」
これは、ある事実を説明する、客観的な描写です。

 

これをそのまま英文にすると……

  これをそのまま英文にすると、こんな感じでしょうか。
The later the response is in coming, the bigger the impact of the declining population will be.

 

一体誰がどうしたって?

  誰がどうする、という話ではなく、状況を説明しています。このように、説明する文章では名詞が多くなります。「誰がどうした」ではなく、「何々は何々である」という書き方なのです。

 

もやっとする英文をもっと英語らしくしてみよう

  でもこれだとあまり英文らしくない。ここで、「誰がどうした」という書き方に変えてみましょう。

 

The longer we delay responding to the issue of declining population, the bigger the impact we will have to deal with.

 

  これで、誰がどうしないといけないのか、つまり、誰の話なのか、誰の問題なのかが分かります。

 

「誰がどうした」をはっきりさせるのが秘訣

  もちろん、英語なら何でもかんでも能動的に訳せばよい、というわけではありません。視点や書き手の立ち位置もからんでくる問題です。とはいえ基本的に、「誰がどうした」をはっきりさせてこそ、英語らしい文章になると言えます。

 

もひとつおまけに……

  最後にもうひとつ例を見てみましょう。
原文:環境問題の解決のためには国際協力が欠かせない。

 

ものごとを名詞でとらえるか、動詞でとらえるか

  International cooperation is essential for…と脳裏に浮かんだ方は、そこで一呼吸。同じものを見ても、「何々は【名詞】である」ととらえる、ある意味観念的な日本語ネイティブの眼鏡をはずして、「誰々が【動詞】する」ととらえる、ある意味具体的な英語ネイティブの眼鏡にかけかえましょう。そうすると自然と、The international community must cooperate to…と切り替えることができるはずです。